地獄でなぜ悪い

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勧められて観たけど面白かったです。

特に長谷川博己の演技が展開に良いテンポ感を出してるなと思った。キャラクターの掘り下げを特にしないのも良かったんだと思います。

話を要約すると獄中の妻のために娘(二階堂ふみ。エロい。けど服がダサい)を主役に映画を撮ろうとするヤクザに脅され、映画の監督をすることになった通りすがりの星野源が映画監督を志す長谷川博己に偶然にも出会い助けを求め、その夜起こるヤクザ同士の抗争をそのまま映画にしちゃう、という荒唐無稽なものなんだけれど、任侠あり、カンフーアクションあり、コメディありで、画面の変化が激しく飽きさせない展開になっている。


以下ネタバレあり











この記事を書いているのはラストについてどう思ったか書く、ならびに自分の中で整理するためなんですが、レビューなんかをいくつか読んでみたところ、園子温監督が実はみんな生きていると発言していたりラストの「カット!」というセリフが入る部分に賛否が分かれたりなど色々とあるようです。

個人的見解ですが、長谷川博己がフィルムをかき集めて走り出すシーンは彼の妄想、というのが一番しっくりきます。彼は作品の中でも死に対する執着はなく、ただ生涯で一本後世に残る映画を撮れたなら死んでも構わないという旨の発言を何度かしています。これは死に対する肯定というか、この発言があるので仮に最後全員死んでいたとしてもハッピーエンドで、だからこそエンディングで星野源によるポップソングが流れるのだと思いました。(全員死んでいたら映画完成してねえからハッピーじゃないじゃん!というのも分かるんですが……まあ映像には残っているわけだし)

ラストの「カット!」という声がかかる部分は、「地獄でなぜ悪い」自体が劇中劇であることを示唆している(=みんな生きてる)ような演出ですが、これはいわゆる普通のハッピーエンドである可能性を残しているというか、どちらの終わり方を望んでいる人も納得できるような、更に緊張からの緩和で最後の最後に全部うっちゃって虚をつくような、絶妙の演出なんではないかと思いました。ただ議論の余地を残すためにみんな生きてるよ発言はなくてよかった気も……あくまで個人的見解です。